ラムは2人いる黒田のうちの1人

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私はラムの正体は黒田兵衛だと考えています。

正確に述べると黒田は2人存在しており、片方がラムであるというのが私の考察です。

今回は私が黒田がラムだと考えるに至った描写について綴ります。


 ◆ラム編は緻密な計算で成り立っている◆

組織の気配を感じ取ることのできる灰原が黒田をシロだと断定している為読者の間でも黒田はラムではないとしている方が多いようですが私は黒田がラムだと確信しています。

ラム編で出てきている「デタラメ」「インチキ」というワードは青山先生が「ラム編では大きな仕掛けをするよ」という意味だと受け止めています。

灰原が黒田、若狭をシロとしてるからラムは脇田で決まりというのは余りに安直過ぎる。

作品の流れを見る限りラム編は単純な考察とはいかないはずです。

黒田に関してはまだ謎が多いのですが便宜上この記事ではラムでない方を黒田と表現することにします。


  ◆黒田は2人存在している◆

黒田は10年近く意識不明で入院していた上、包帯を取った看護士が腰を抜かすほど別人のように変化していたとされています。

上原「意識が戻った今も所々細かい記憶が抜け落ちてるっておっしゃってたけど…」 86巻

これは黒田が2人存在する為に記憶の共有が不完全であると捉えることができると思います。

灰原が黒田と初めて会ったのは「ブログ女優の密室事件」(87巻)で、最後のページに黒田は少しだけ登場しますがこの時灰原はかなり怯えきってコナンにしがみつきました。しかしその理由を灰原はこう述べています。

灰原「あんな恐ろしい顔を間近で見せられて平気でいられるわけないでしょ?」 87巻

組織の人間の匂いを黒田から感じたわけではないのでこの時は黒田で間違いありません。

現在までに原作で黒田の活躍の目立ったエピソードといえば初登場回の「県警の黒い闇 86巻~87巻」と「燃えるテントの怪 93巻」の2つです。

「県警の黒い闇」の黒田と「燃えるテントの怪」の黒田は私には違う人物に思えます。

まず「県警の黒い闇」の黒田ですがこの時の黒田はとにか人の名前を事あるごとに呼んでいます。

「三枝、鹿野、秋山の3人はこの周辺の聞き込みを!」

「大和と諸伏と上原は竹田が関わった事件で恨みに思ってる奴を全て洗い出せ!」

「抜かるなよ…大和の言う通り…」

たった3コマでこれでもかと言うほど人名を口にしています。

対照的に「燃えるテントの怪」は最低限しか人の名前を呼んでいません。

もちろんその時の状況や登場人物の多さという違いこそありますがかなり気がかりな点です。この違いから2人は別人と考えるべきではないでしょうか。

また名前に関するものだと気になる台詞もあります。

容疑者として浮かび上がった3人が被害者のテントを訪れた順について語るシーンです(93巻)

黒田「確か最初は先程名前を伺った…古岡美鳥さん…次が芦沢純人さん…そして最後が…段野邦典さんの順でしたな?」

丁寧に名前を呼ぶ、というよりもこのシーンは黒田が読者に容疑者を紹介しているかのようです(笑)

これこそ黒田と偽黒田(ラム)の違いは人を頻繁に名前で呼ぶかどうかというヒントではないでしょうか。

 この回で黒田と灰原はしっかりと対面していますが彼女は一切黒田に反応していません。

そのことから「燃えるテントの怪」の黒田はラムではないと言えます。

以下私が注目している黒田初登場回の台詞

大和「どっかの組織の大ボスみてーな面だからな…」

偽黒田(ラム)が公安のボス、黒田と同じ顔をしている。

大和「どーせ誰かと見間違えたんだよ!」

黒田「フン…とても見誤る風体とは思えんがな…」

→事件との関りが疑われた大和が現場周辺で目撃されたことについてのやり取り。

黒田は片目の潰れた大和を「誰かと見間違うとは思えない」と表現しているがこれは大和と同じく片目の潰れている特徴的な外見を持つ自分と同じ顔がこの世に存在するはずがないということを強調しているように思える。

言い換えれば黒田と同じ顔がもうひとつ存在しているということ。

高明「獅子身中の虫…獅子を喰らうとも言いますし…」

ラムが警察庁内に侵入している

ラム編はラムは誰かという話ですから黒田初登場回の「県警の黒い闇」は黒田でなくラムと考えるべきです。

この時が黒田で後にラムがちょこちょこ登場するのは漫画の演出上あまり美しいとは言えない展開です。

ですが「県警の黒い闇」の最後にチラッと登場したのは黒田だと思います。

黒田「三枝にも…後でこってり事情聴取せねばならんようだが…どうやらそれはお前達に任せる事になりそうだ…」

高明「え?」

これはこの事件を捜査していたのがラムだから黒田にはラムとの情報共有を終えなければ対応できないということです。

高明は黒田が2人存在していることを知りませんから「なぜ?」という表情をしているわけですね。

またこの時黒田はスマホを操作しています。慌ただしい中でどうしても連絡を取らなければならない相手がいるということ。

これはラムと連絡を取っていると考えるべきです。

黒田が2人存在していることを読者に伝える為にひとつの事件の中に2人とも登場させた方がやはり演出として最高の形だと思います。

そして灰原はこの時の黒田と会っていません。もし出会っていれば反応したはずです。

白鳥「思いきって休まれてはどうですか?どーせ年次休暇も全くとられていないんでしょ?」 93巻

これも2人の人物が黒田1人を演じている為大して休みが必要ではないということを示唆しているのかもしれません。

また後述しますが黒田とラムの決定的な違いは黒田がコナンに関心を持つのに対しラムは新一に関心を持つというのがあります。

この「県警の黒い闇」の黒田はコナンへの関心が非常に薄いのです。

実際にコナンはなぜか小五郎と蘭しかいない新幹線の中で推理を披露しています。

黒田であればコナンから情報を聞き出そうと模索するはずです。

ここからもこの時の黒田はラムであると言えます。


◆なぜか黒田はコナンと2度目の対面で握手を求めた◆

私の考察が正しければ黒田とコナンの本当の初対面は87巻の「ブログ女優の密室事件」の最後のページとなります。この事件で黒田と対面した灰原は彼から組織の気配を感じ取っていません。このことからこの黒田はラムではない。

そしてこの時黒田はコナンに握手を求めています。

非常におかしいですよね。

黒田が本当に1人である場合、コナンとは「県警の黒い闇」で既に対面済みのはず。今更握手する必要はありません。

ここで黒田が握手を求めたのはこれが黒田とコナンの初対面だからです。

また高木刑事に電話でコナンの指示通りに動くよう伝えている為この時の黒田は最初からコナンに対し強い関心を持っていることが分かります。「県警の黒い闇」の黒田には見られなかったものです。

このことからも黒田は2人存在している可能性が高いと言えます。


◆人を名前で呼ぶか否かは作品上最適な演出◆

私の考察通り黒田が2人存在しておりその2人の容姿も声も全く同じであればラム、黒田の両方と連絡を取り合える人物(具体例を挙げれば安室)は電話越しでもラムと黒田を瞬時に判別し話を合わせなければなりません。

相手は組織の大物。偽黒田がラムだと気付いたからと言って対組織陣営が簡単に動くことはできないはず。

安室はラムの正体に気付いてもラム捕縛作戦を実行に移すそのギリギリ、もしくはその瞬間まで偽黒田(ラム)を信じ切っている演技をします。

よって黒田と偽黒田(ラム)には電話越しでも明確な違いが必要になります。

そしてそれはラムが誰であるかを考察している読者にも伝わるものでなればなりません。

その明確な違いこ「人を名前で呼ぶかどうか」ではないでしょうか。

ラムは電話の際最初に相手を名前で呼ぶクセがあるのだと思います。

このクセがあれば安室をはじめ、黒田と連絡を取り合っている対組織陣営の人物は相手が黒田かラムであるかどうか即座に判断し、適切な対応ができます。

実際に長野廃教会事件でこんな描写がありました。

大和「もしもし?」

黒田「久し振りだな大和…」 97巻

大和に電話をかけた際、黒田は一言目に相手の名前を呼んでいます。

私はこの時の黒田はラムだと考えています。

人物を名前で呼ぶのは対組織陣営と読者が黒田かラムかを判断する上で最適な演出と言えます。

現時点で両者の違いを示す判断材料が少ないのは確かですが「電話越しでもすぐに違いが分かる何か」となると相当限定されるはずです。


◆「バーボン」呼びした際の黒田はラム◆

黒田が安室を「バーボン」と呼んだのが96巻です。

黒田とラムの明確な違いとして黒田=コナンに関心を示す、ラム=新一に関心を示すというものがあります。

この96巻でコナンを目で追っている黒田の存在が確認できます。コナンに関心を持っている為これは黒田ですね。この時黒田は安室と連絡を取っています。

黒田はコナンの推理力に関心を持っているのでコナンの手助けになる情報を与えるよう安室に指示したわけです。

事件解決後、恐らく翌日でしょうが安室と黒田がスマホで会話をする場面に移ります。

安室「言われた通り僕が提供できる情報は全てあの少年に伝えました…まあ事件解決の手助けにはあまりならなかったようですが…」

黒田「それより例の件は…どうなってる?」

 96巻黒田の言葉を受けこわばった安室の表情の背後に描かれているのは赤井と工藤夫妻。

「例の件」とはまだ明らかにされていない工藤邸でのお茶会のことだと分かります。

この黒田はコナンの情報よりも新一の情報を欲しがっています。これはラムでしょう。

この「バーボン」呼びが出た上に安室が余裕のない表情であったことから読者の間では黒田がラムならあまりにストレートすぎるので彼はラムではないと考えていた人が多かったようです。しかしこれこそ青山先生の狙い通りではないでしょうか。

私はこの時点で安室は黒田が2人存在していること、その2人には電話越しでも判断できる違いがあることに辿り着いていたと考えています。電話越しでも判断できる違いが上記の通り相手を名前で呼ぶということです。

恐らくこの電話の冒頭で黒田(ラム)は安室を名前で呼んだのだと思います。そこで安室は相手が黒田でなくラムだと判断できたのではないでしょうか。

電話の相手がラムであり、そのラムに対して嘘をついている為に怯えたような表情をしていたと推測できます。

原作で安室と黒田の繋がりが描かれたのはこのシーンが初めてです。

コナンと初対面の時の黒田がラムであるならやはり安室の上司が黒田であることが初めて明らかとなったこのシーンもやはりラムと考えられます。


◆コナンと風見の台詞は黒田が2人存在していることの示唆か◆

工藤新一生存情報が世間を騒がせている真っ最中、当事者であるコナンはこんな台詞を口にしています。

「実は工藤新一には双子の弟がいて…死んだのは弟の方だった…」 95巻

このことをコナンは「こんな冗談でも言わないと頭がどうにかなるぐらいに焦っている」と理由を述べています。

これは黒田と同じ顔の人物がもう1人存在していることを示唆している台詞ではないでしょうか。

また「ゼロの日常」38話「おかしな噂」は安室によく似ているとされる人物が登場します。

自分に似た人物の起こした行動で安室に関する良くない噂が広まっていることを彼は部下の風見に愚痴をこぼすのですがその際の両者の会話がこちら。

風見「降谷さん…それはもしかしたらドッペルゲンガーかもしれません…」

安室「ドッペル?」

ひとしきりドッペルゲンガーの恐ろしさについて解説した風見は最後にこう付け足します。

風見「降谷さん…偽物を捜すのは危険かもしれません…」

これは黒田は2人存在し、一方が偽物でラムであるためその彼を追うのは非常に危険な行為であるという意味があるのかなと。

そして次の39話「頼んだぞ」は「ゼロの日常」とは思えない程冒頭はあからさまに組織を連想させるものでした。


◆「裏切りのステージ」の容疑者の名前が伏線か◆

「裏切りのステージ」(90巻)はコナン、安室、赤井というラム編の主要キャストが初めて協力して事件を解決した上に安室と赤井の確執の原因まで明らかにされたことからラム編における非常に貴重な回と言えます。

そして無視できないのが容疑者となった3人の風貌はそれぞれあからさまに黒田、若狭、脇田を連想させる点です。

黒田に該当するのが布施、若狭は円城、脇田は梶谷という人物ですが私はこの3人の名前に注目しています。

円城=えんじょう=炎上、梶谷=かじや=火事。この2人は火災に関連する名前です。

しかし布施だけそうではありません。特に意味がないのであれば3人とも火災に関連する名前にすればいいはずです。

では布施は何を表しているのか。彼の名前をローマ字にしてみましょう。

布施=FUSE=ヒューズ

導火線という意味のヒューズとなります。当然連想するのは17年前に殺害されたアマンダ・ヒューズです。

このヒューズがアマンダを指しているのかどうかは断言できませんが容疑者3人のうち黒田に該当する人物の名前のみ仲間外れにしたのは意図的だと思います。

ラムには影武者の存在が示唆されていますがラムが1人であることは明言されています。

ここで布施1人だけ他2名と名前の関連性がない上に17年前の事件を連想させる名前というのは大変気がかりな点です。

黒田=ラムという伏線ではないでしょうか。


◆安室は脇田と手を組んでいる◆

私は安室と脇田の二人は協力関係であると考えています。

長野廃教会殺人事件で同じコマで2人とも手を裏で組んでいますがこれは2人が裏で手を組んでいると考えていいと思います。

裏で手を組むということは堂々と協力関係ではいられないということ。

これは安室が上司の黒田を(正確には偽黒田であるラム)を裏切っているという意味が含まれていると推測できます。

安室と脇田が協力関係にあることに関してはまた別に記事にします。

追記:記事、完成しました。

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