宮野家を知っていた若狭、若狭VS灰原の幕開けか【明美のタイムカプセル】

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今回は1070話~1072話の全3話構成となった「明美のタイムカプセル」の考察です。
若狭留美が宮野家の存在を知っていた事や「銀の弾丸」に関する新情報が明らかになりました。

またRUM候補である脇田と若狭の2人が登場し、灰原の組織レーダーが反応した事も含め読者刮目のエピソードであったと言えます。

 

明美のタイムカプセル】 


灰原の姉、宮野明美はコナン達の通う帝丹小学校の卒業生で卒業に合わせ同級生達のタイムカプセルを埋め、その場所を暗号に残していました。
コナンと灰原を含む少年探偵団は若狭、小林先生、そして同窓会で集まった明美の同級生のうち3人と共に暗号に挑みますがこの3人の中にタイムカプセル探しを妨害している者がいる。それは一体誰なのか。そして明美がタイムカプセルに残した灰原へのメッセージとは一体何だったのか…。

 

【若狭は宮野家を知っていた】

若狭(宮野…明美…宮野…志保…あの毒薬の研究を引き継ぎそして組織を裏切った…ヘルエンジェルの娘…この子が…!?…まさかね…) 

この言葉により若狭は宮野家の存在を知っている事が明らかになりました。
ですが若狭のこの独白は解釈が分かれてしまう気がします。
若狭がエレーナと灰原のどちらについて触れているのかイマイチ分からないんですよね。
「毒薬の研究を引き継ぎ組織を裏切った」とは誰の事なのか。

ベルモット「恨むならこんな愚かな研究を引き継いだ両親を…」

エレーナは組織の何らかの研究を引き継いでいました。
また組織は敵対する人物、勢力を銀の弾丸と呼んでいますがエレーナは銀の弾丸なる薬品を作っていた事から組織にとって裏切り者であったと考える事が出来ます。

一方の灰原は両親の作ったAPTX4869を復元、その後組織を離反。
若狭の言う「毒薬の研究を引き継いだ後、組織を裏切った人物」というのはエレーナと灰原のどちらの解釈も可能なんです。
これがコミックスで修正されていればいいのですが。

まあこの回りくどい言い回しを作者が敢えてチョイスした可能性もあります。
ですがどちらについてであっても若狭の独白は読者にとって大きな新情報となります。


まずエレーナについて触れたというパターン。

若狭は「毒薬」で羽田浩司の遺体を回想しています。
即ちエレーナが引き継いだ「愚かな研究」とはAPTX4869の事。
組織は宮野夫妻組織加入前からこの薬の開発に尽力していた背景が窺えます。
灰原はAPTX4869を「両親の作った薬」と語っていますが組織の研究を引き継いだ結果宮野夫妻が完成させたという考えでも矛盾はしません。

またエレーナが組織の裏切り者であるというのも新情報です。
エレーナは「組織の裏切り者」と考えられる描写こそありましたが彼女が「組織を裏切った人物」というのは憶測の域を出ないものでした。
若狭の独白により組織を裏切った事が初めて明かされた事になります。

しかしこれはどちらも若狭視点に過ぎないというのも留意すべき点です。
若狭はこれまでの描写から元組織の可能性の高い人物。

若狭の視点は組織内で語られていたエレーナの人物像でしかなく核心部分については若狭も知らないという可能性は充分残ります。

 

次に灰原について触れているというパターン。
これはかなり衝撃の情報ですね。

灰原が組織を離脱したのは最近の事です。この情報を若狭がどのように手に入れたのかという疑問が生じます。
若狭はAPTX4869の投与者リストをPCで閲覧していた事からハッキングに優れている可能性があります。
そして若狭の閲覧していた情報に工藤新一死亡の文字が。これは若狭が組織のかなり新しい情報を持っている事を表しています。
よって彼女がこのハッキング技術で最近の出来事である灰原の離反を知りえた可能性はあります。
ですがそれならばなぜ若狭はシェリー=灰原にたどり着けていないのか。


若狭が灰原に関心を抱いたのはこのエピソードが初めてです。
シェリーの顔写真が組織のデータとして保管されている事はピスコの登場時、作中で明らかにされています。
若狭はコナンの正体にたどり着いている為若返りの現象を知る者。

「組織の裏切り者」=宮野志保という方程式を知っているのなら灰原の外見から彼女の正体に気付いていないと不自然です。

もちろん若狭はシェリーの顔写真の情報にはアクセスできなかった(していなかった)だけという可能性はあり得ます。

少なくとも若狭は明美の名前から志保を思い起こしたのでこの2人が姉妹の関係にある事とエレーナことヘルエンジェルの娘達であるという事まで把握している事は確定です。
また若狭がエレーナの名前を出さなかったのがポイントかと思います。
娘達の名前を知っているのならエレーナの名前も知っているでしょう。

エレーナの名前でなく彼女の組織内の呼称を持ち出す事で若狭が組織と深く関わりがある人物である(あった)事を読者に匂わせる意図があるのかもしれません。

またここでエレーナの名前を出さない事で二人は大して親しい間柄ではなかったという考察も出来ます。


銀の弾丸の新情報】


明美が志保に託したメッセージの中に「銀の弾丸」に関する新情報がありました。

明美(お母さん言ってたよ!銀の弾丸は正義の弾だって…) 

明美は母から「銀の弾丸は正義の弾」と聞かされていた事が明らかになりました。
謎の多いエレーナですが彼女が悪なら娘に研究の情報を漏らしたりはしません。
黒幕説も囁かれるエレーナですが悪に立ち向かうために暗躍していた女性と考えて問題ないと思います。

またここで注視すべき点は明美のメッセージに目を通している灰原の表情が極めて晴れやかだという事です。 

エレーナ「お母さんね…今、とても恐ろしい薬を作っているの」「シルバーブレッド…銀の弾丸ってね!」 

灰原は母の残したテープにより「銀の弾丸」の存在を知る事となりましたがそれは「とても恐ろしい薬」という情報でしかないはず。
彼女の中で銀の弾丸=恐ろしい薬という方程式があるのなら今回のような穏やかな表情にはなりません。
これは「銀の弾丸」に関する情報が彼女の中で上書きされる何かがあったから。
エレーナの残したテープにはまだ読者に明かされていない部分がありそれを灰原は知っているのか。
はたまた彼女が自分なりに「銀の弾丸」について秘密裏に研究を進めた結果たどり着いたのか。
少なくとも現在の灰原の中で「銀の弾丸」はエレーナの言う「とても恐ろしい薬」には該当しない、それどころか明美の言う「正義の弾」という表現に肯定的と言えるでしょう。灰原は「銀の弾丸」の持つ真の効果を知っているわけですね。
タイムカプセルでこの薬品に触れたという事はこの薬は作中で伏線の役割を担っていると考えられる「時の流れ」に深く関わっているのかもしれません。

作中では「銀の弾丸」とAPTX4869が同一であるかはまだ明かされていませんが考察材料はまた追加された形です。

 

【若狭の組織離脱時期のヒント】


これまで若狭は元組織と取れる描写はありましたが組織離脱がいつ頃なのかは不明でした。
ですがこのエピソードにはその時期を紐解くヒントがあります。

明美(志保へ…IQの高いあなたは海外に留学させられ…多分、父と母の研究を引き継がされるんだろうけど…)

明美のしたためたメッセージから灰原は13年前の5歳の時点で組織入りが決まっていた、つまりこの頃既に組織の関心を集めていた事が分かります。
そして5歳時の志保の容姿は現在の灰原と大差ありません。
若狭が13年前に組織に在籍していたのなら宮野志保の情報は把握していた可能性が高く、そこから志保=灰原にたどり着けるはず。
ですが若狭が灰原に関心を示したのはこのエピソードが初めて。
ここから若狭は少なくとも13年前には組織を離脱していたという明確な数字が算出できるわけです。


若狭が元組織である事を前提とし、13年前より後、例えば10年前に組織入りしその後離脱した可能性があるのか。
結論から言えばその可能性は低いと思います。
彼女は羽田浩司の遺品である将棋の駒を持ち歩くなど17年前の事件に非常に執着しています。
彼女が元組織ならやはり17年前の事件に何らかの形で関わっている、その時点では組織の一員だったと考えるのが自然です。わざわざこの数年に加入と離脱をしたという経歴にする必要性を感じません。

ピスコは宮野夫妻と交流がありまだ赤ん坊だった灰原とも顔を合わせています。

もちろん宮野夫妻はピスコ以外の組織の人間に娘達を紹介していても不思議ではありませんが若狭に届いていたのは宮野姉妹の名前の情報だけだったのかもしれません。

【若狭VS灰原の展開となるのか】


今回脇田の登場により灰原の組織センサーが作動。
私は脇田=RUMはミスリードと考えている立場です。
脇田はRUMの影武者を任されている組織以外の人物で正義の立場であるというのがこれまでの私の考察でしたがもし灰原センサーが脇田に反応したのであれば脇田が組織という事も視野に入れようと思います。
これまでも安室や赤井のように正義の立場ながらも組織に在籍した人物が灰原センサーに引っ掛かった例はあったので。

ですが脇田登場と言っても脇田と灰原は顔を合わせてはいません。
灰原のセンサーが反応した相手は元組織である若狭という可能性は否定できないと思います。


若狭は「毒物」の言葉と共にこの薬によって死亡した羽田の遺体を回想。彼女はリストから彼の死因がAPTX4869である事を知っています。
そして若狭は羽田に対し特別な感情を抱いていると考えられる人物。この薬の開発者へ彼女の憎悪が向かう流れは想像に難くない。
それを物語るように組織センサーの働いた時、灰原の背後に佇む若狭は不気味な雰囲気を醸し出しています。
今後若狭VS灰原という展開が待ち受けているのかもしれません。
この両者の対決の構図に関してはきちんと下地が整っています。

若狭はAPTX4869の投与者リストに江戸川コナンとして生存している工藤新一が死亡と記載されている事を知っています。
ここから工藤新一を死亡した事にしたい何者かが組織内にいる(いた)、そしてその何者かは工藤新一を守りたい人物でコナンの周辺に身を置いている事も予測できるはず。

若狭が初めて灰原へ関心を示したこのエピソードは両者対決の口火を切ったと捉える事も出来そうです。
灰原は若狭を非常に信頼していますがその若狭から恨まれる展開となれば灰原の悲劇は更に上乗せとなりなんとも気の毒。
ですが幼児化を知る若狭が灰原=志保に気付くのは時間の問題でしょうね。

 

【不可思議な脇田の独白】


脇田=RUM不定派の私は今回の脇田のこの独白に注目しています。

(帝丹小学校19期生は…あの宮野明美だが…) 

明美は妹の志保と違ってコードネームも持たない下っ端であり組織にとって必要な存在ではなかった事が作中で明かされています。
特にNo.2であるRUMほどの大物であれば余計に明美はどうだっていい人物のはず。
しかしながら脇田は明美が死んでいる事はもちろん、彼女の通学していた学校や卒業の時期まで把握しています。灰原でさえ明美が帝丹小学校に通学していた事は知らなかったというのに。
脇田をRUMとすると彼がコードネームも持たない明美に詳しい事そのものが不可思議と言えます。

(死人が来るワケないか…)

次に脇田のこの言葉の真意について。
組織の目的は死者の復活。
灰原はこれを否定していますがその一方ベルモットは板倉との電話でこの目的を肯定するような発言をしています。
脇田はRUMの影武者として振る舞う中で組織の目的は死者の復活やそれに近いものであるという情報を得ているのではないでしょうか。
組織は死者の復活なるものを目論んでいるようだが死者は蘇る事などあり得ない。
彼の心中はこのようなものだったのではないかと考えています。
彼は組織サイドというより組織を追い詰める立場の者という伏線のひとつとして死者の復活を匂わせる言葉を使用した可能性があります。

 

【モネの絵画は烏丸の暗示か】


今回登場した「モネの絵」は烏丸を暗示しているキーワードの可能性があるかもしれません。
暗号の「モネ」からコナン達は校長先生が校長室に飾っているモネの絵のレプリカにヒントがあると考えます。
しかしその絵はいつの間にか卒業生の作品に変えられていました。
クロード・モネは名前に烏のクロウが入ります。また彼の代表作は睡蓮。
クロード・モネは烏丸蓮耶を暗示する上でうってつけの存在ではないかと思います。

「モネの絵」が本当に烏丸を暗示しているのなら飾られていた絵が全くの別物にすり替わっていた事は極めて大きな伏線となりそうです。
端的に言ってしまえば実は烏丸は何者かとすり替わっているという可能性ですね。

「僕が在校してた時もモネの絵だったけど…いつから僕の絵になったんだろ?」

深読みかもしれませんが卒業生の言葉は絵画のすり替え時期を推察させる狙いがあるようにも思えました。彼の言葉から13年前はモネの絵だったという事が分かります。

コナン「ウチの校長先生画家のモネが大好きで…レプリカを校長室に飾って自慢してたから…」 

コナンのこの言葉の「校長先生がモネの絵を校長室に飾っていた」という情報は
■工藤新一として通学していた時代に得た
江戸川コナンになってから得た
どちらなのかもポイントになります。
基本的に工藤新一時代の小学校の知識を語ってしまった場合コナンは幼児化を誤魔化そうと焦るのが通常パターンなのでこれはコナンになってから得た情報の可能性の方が高いかもしれません。
となるとモネの絵はつい最近卒業生の絵に替えられたという事になります。
最近の1066話「RUM」で「あの方」という表現が登場したので「あの方」は存在している事になります。
ですが「あの方」は烏丸から何者かにすり替わっている可能性はゼロとは言えないのでは。
何せボス=烏丸と明かされた時のタイトルは嘘を意味する「ホラ」でしたからね。
現在「あの方」は烏丸を名乗っているだけ等という事も有り得るのかなと思います。

 
さて、今回の「明美のタイムカプセル」を含め最近のコナンはかなり大胆な伏線を張り始めています。
もちろん私の考察が正しければの話ですが。
その大胆な伏線については近いうちに記事をUPしますので目を通して頂けましたら幸いです。

※▼重大な伏線に関する記事が完成しました。

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