若狭の連携相手はメアリーでなく黒田か

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今回は黒田兵衛と若狭留美が手を組んでいる可能性について綴ります。

 

前半は若狭とメアリーが連携しているというのが盛大なミスリードではないかというもの、後半は若狭の真の連携相手は黒田ではないかという記事になっています。

  【若狭はメアリーと連携しているのか】

若狭は初登場時よりコナンの幼児化を疑っていました。
一部の例を除き若返りの現象にたどり着けるのは若返りの現象を目の当たりにした人物だけというのがこの作品の基本です。
つまり若狭は何者かの若返りを知っている事になります。
その若狭の知る若返りとはメアリーであり、若狭とメアリーは協力関係にあると考えられる描写は作中に点在しています。

ですが私は若狭がメアリーと連携している可能性は作者による盛大なミスリードという事も推測しています。

まず若狭とメアリーが連携していると考えられる伏線を振り返ります。


若狭の初登場は91巻です。
この時彼女はコナンの若返りに気付いている状態でした。また発生した事件が解決するようコナンをサポートしている事から江戸川コナン=工藤新一にほぼたどり着けていたと言えます。
そして彼女はアガサ博士の発明品に全く驚いた様子を見せていない。
若狭は初登場の段階でコナンの若返りと眠りの小五郎を支えているのがアガサ博士という情報も入手していると考えられます。

 

一方メアリーはロンドン編(71巻~72巻)の時点で少女化。
それと同時に江戸川コナンの正体が工藤新一である事にもたどり着いています。
また若狭登場の少し前、90巻でコナンの変声機を用いてコナンに代わり小五郎の推理ショーを披露した事からコナンを支えているのがアガサ博士という事にも気付いています。


若狭はメアリーと連携している。
だから若狭は若返りの現象を知っているしアガサ博士の発明品にも驚いていない。
メアリーから若狭へ情報提供があったと考えるのは自然です。

ただしこの推測は以下に記載する通り矛盾も孕んでいます。

 

【若狭とメアリーの関係はミスリード?】

若狭は当初コナンの推理のアシストをしていましたが現在は行っていません。
この変化は新一の生存情報の拡散と同時にコナンが小学校を休学した事で江戸川コナン=工藤新一という真相にたどり着いた事がきっかけです。
裏を返せば若狭はこの時まではコナンを新一と確信していなかった事になります。


メアリーは少女化した時点で江戸川コナン=工藤新一と結論付けています。
若狭がメアリーと通じているのならこの情報は当然共有されるはずで若狭は初登場時からコナンの正体に確信を持っていないとおかしい訳です。


またメアリーは娘である世良を通してコナンの情報を収集しコナンが信頼に足る人物であるかを精査しています。
世良の初登場は73巻。この時から世良はコナンの周辺を嗅ぎ回っていました。
若狭とメアリーが連携しているのならメアリーは娘を動かしている中で若狭にコナンの調査を依頼した事になりますがメアリーも世良もコナンの正体にたどり着いている中、一体メアリーは何を目的に若狭を動かしているのか理由が判然としません。 

メアリー「もしもそんな薬があるのならこのボウヤに接触し…是が非でも手に入れねばなるまい…」

 メアリーは世良にコナンが持つ解毒薬を「掠め取れ」と指示しています。


彼女はコナンが解毒剤で新一に戻っている可能性にたどり着いています。
コナンと娘を接触させる理由の1つが解毒剤の入手です。
ですがこの役割はコナンと毎日のように顔を合わせかつ身体能力に非常に秀でている若狭の方が適任です。
何せ「掠め取れ」とまで言う程に欲しい訳ですから。

メアリーが世良に薬を「掠め取れ」と指示したのが98巻。

若狭は既にコナンのクラスを担当していますからメアリーは若狭がコナンのクラスの副担任となってからもコナンから距離のある世良を動かしている事になります。
若狭とメアリーが連携しているならこれは奇妙と言えるのではないでしょうか。

 

また私が気になっているのが若狭の表情です。
彼女は97巻「山菜採り」でコナンの推理ショーの舞台裏を目撃していますが驚いた様子を見せないどこか不気味な笑みを浮かべています。
この笑みは95巻でAPTX4869の投与者リストを見ている時と同じ種類の笑みではないかと思います。
95巻の笑みは江戸川コナン=工藤新一にたどり着いた笑みと言えます。
つまり97巻の笑みは推理ショーの疑いが確信に変わった表情でありそれまでは推理ショーの裏側を把握していなかった可能性がありそう。
この笑みがここでようやく推理ショーの裏側に確信が持てた、それまでは推理ショーの舞台裏を完全に把握できていなかったという伏線となっているならやはり若狭はメアリーと連携していないのではないでしょうか。

先述した通り当初若狭はコナンの正体に確信を持っていなかった事は確実なのでまあこの時点でメアリーと連携しているという考察の方が実は無理があるという気もします。

 
若狭とメアリーの連携を否定する材料になりそうなものは他にもあります。 

世良「昔から世話になってるパパの友人が金持ちなんだ!」 83巻
メアリー「お父さんの友人の羽田さん覚えてる?」 98巻

ホテルを転々としているメアリーと世良ですがその資金は羽田家からという可能性が極めて高いと言えます。
そして若狭は高層マンション暮らし。若狭は羽田浩司に何かしら思い入れがある人物です。
彼女の資金源も羽田家からという見方が可能だったわけですが羽田家は「羽田浩司事件の犯人は彼が大切にしていた将棋の駒の持ち主」と考えている事が明らかとなりました。
この駒の持ち主は若狭です。
彼女が羽田家から資金援助を受けるほど羽田家と親しいのならこのように言われないはず。
若狭の潤沢な資金源が羽田家からという可能性は低くなり、若狭と赤井家が羽田家を通して交流があるという見方も難しくなりました。

 

そもそも極めて慎重な性格のメアリーが若狭と協力関係にあるというのにも違和感を覚えます。

メアリー「羽田浩司殺害事件の情報を嗅ぎつけて…奴らが来るその前に…」

宿泊していたあるホテルの隣室で羽田に絡む事件が起きた際メアリーはこの事件が報道される事で組織に狙われる可能性を危惧し即刻ホテルを変えています。立場上メアリーはマスコミを避けなければなりません。
一方若狭と言えば自分の名前を報道させるよう行動したと考えられます。
マスコミを嫌うメアリーが進んでマスコミに顔を出す若狭と関係を持つのは不思議です。
何より若狭は名前のアナグラムで組織を誘き出そうとしています。
マスコミを利用し組織を誘き出そうとする若狭、マスコミを忌避し組織から逃れようとするメアリー。
若狭と手を組むのはメアリーから見れば格段にリスクが高いと言えるのではないでしょうか。


若狭はコナンの正体を探る為に殺人の気配を察知しながら放置していますし、それどころか事件が起きコナンが動く可能性に期待するような笑みを浮かべた事もありました。

 加えて若狭は「山菜採り」で歩美ちゃんからプレゼントされた四つ葉のクローバーを捨てていますがこれは自分には幸せになる資格がないと認識しているからこその行動だと思います。
更に彼女は99巻では将棋の駒を奪還するために安室に暴力を振るい気絶させるという非常に大胆かつ乱暴な手段に出ています。

灰原の信頼こそ得ている若狭ですが彼女は元組織の可能性が高く、現在もその素顔は悪と言えます。

若狭のような人物に対し慎重なメアリーが自身のトップシークレットである若返りを打ち明け交流しているのはどうにも腑に落ちません。

若狭にコナンの若返りとアガサ博士の発明品の情報を渡した人物はメアリーではないのかもしれません。 

 

【若狭の真の連携相手は黒田なのか】

ここからは若狭にコナンの若返り及び推理ショーの裏側に関する情報を提供したのが黒田である可能性を探ります。

まずコナンの作中には若返っている人間が今後登場する、あるいは既に登場している可能性がそれなりに濃厚と言えます。


そのカギを握るのが羽田秀吉。
彼はコナンの若返りに気付いていますから若返りの実例を知っている人物という事になります。
ですが秀吉は母メアリーの若返りを知らない事が98巻で明るみとなりました。
また彼は灰原に関心を示していない事から灰原の若返りも知らないはず。
兄、赤井秀一の生存を知る数少ない人物であり今後も活躍が期待される秀吉ですが棋士として生活している彼がベルモットの若返りにたどり着いたとは到底考え難い。

 

つまり秀吉の知る若返っている人物とは作中にまだ登場していない、あるいは登場しているものの若返りが明かされていない人物という可能性が高いと考えていいのではないかと思います。

ではその秀吉と繋がっている若返っている人物は誰なのか。

私は秀吉の目の当たりにした若返りの実例とは黒田の可能性があるのではないかと考えています。


黒田は「ブログ女優の密室事件」の現場にいた高木からの電話を受けコナンがその現場にいると分かると高木たちにコナンの指示通りに動くよう伝えています。

黒田「君なら事件解決の手助けをしてくれると信じていたよ…」「眠りの小五郎の知恵袋ならねぇ…」

コナンの活躍ぶりは警察の中でも話題に上っているとはいえ幾度となくコナンと現場を共にしている目暮警部達でも事件をコナンに一任したりしません。
黒田の中には目暮警部や高木よりもコナンの能力の方が上だという確信があるわけです。
また「標的は警視庁交通部」ではコナンを視界に捉えてすぐに事件の情報をコナンへ提供するよう安室透に伝達しています。
黒田はコナンが事件解決の為に情報収集を行い、解決へ導く事を予測できているからこその行動です。

黒田(眠りの小五郎の知恵袋…流石と言うべきか…)

これらの黒田の言動から推察できるのは彼はコナンが普通の小学生ではない事を知っている、つまり若返りの事実に気付いている可能性があるという事。
黒田と目暮警部達のコナンへの関心度の差は若返りの現象を知る者とそうで無いものの差と言えそうです。

若返りの事実にたどり着けるのは若返りの実例を目の当たりにした者だけ。
黒田の知る若返りの実例とは黒田本人という伏線は張られていると思います。


黒田が登場した「ブログ女優の密室事件」では犯人が年齢をサバ読んでいた事が事件の引き金となりました。
また同じく黒田の登場した「標的は警視庁交通部」のシリーズ1話目のタイトルは「同い年なのに…」とまたも年齢の話題です。
そしてこの事件は被害者、容疑者5人全員名前に数字が入っています。
これは黒田の年齢が50歳ではないという伏線の役割を担っているのかもしれません。
若狭の知る若返りの実例が黒田である可能性はゼロとは言えないと思います。

 

若狭が初登場から知っていたアガサ博士の発明品の情報も黒田経由だとしても実は辻褄が合うんです。 

安室「この近所にはMI6も顔負けの発明品を作っている博士がいるそうじゃないですか…」
「上には僕の方から話しますので…」

この安室の台詞は黒田登場前の85巻のもの。
黒田は安室の上司ですからこの「上」とは黒田だと推測できますから黒田は85巻の段階でアガサ博士の数々の発明品を知っていた可能性が極めて高い。
また私は黒田のこの台詞にも注目しています。 

「この度松本清警視正に代わり…警視庁捜査一課の管理官に就いた黒田兵衛です…以後、お見知り置きを…」 87巻

これは黒田からアガサ博士に向けての挨拶です。今後も宜しくというこの挨拶は眠りの小五郎推理ショーを行うコナンの背後にアガサ博士がいる事を知っていたから出てきた台詞ではないでしょうか。

黒田はコナンに注目していますがそのコナンよりも先にアガサ博士に挨拶していますからここは重大な伏線だと思います。
つまり黒田は87巻の時点でコナンの若返りと彼の協力者がアガサ博士である事にも気付けていたのではないかと考えられます。

そして若狭の初登場は91巻。


若狭がコナンの若返りにたどり着けたのは若返った人物と接触したから。
そしてその人物はアガサ博士の発明品に纏わる情報を持っている。

黒田は若返っている可能性があり、若返りの実例そのもの。
そしてアガサ博士の発明品の情報を持っている。
この考察通りなら黒田は若狭が連携している人物像に合致しています。


補足すると若狭もその名から若返っていてもおかしくはありません。
若狭の知る若返りの実例が彼女本人という可能性はあり得ると思います。
ですが自身が若返っているというだけでは彼女がピンポイントでコナンはもちろんアガサ博士の発明品にたどり着く事は至難の業です。
コナンが普通の小学生ではない、かつアガサ博士の発明品が大きな役割を担っているという情報提供がないとコナンの正体を疑う事は出来ない気がします。やはり若狭が単独行動をしていると考えるのは難しいのではないでしょうか。


コナンが非常に優れた推理力を持つこと、アガサ博士が優秀な発明家である事を把握している黒田が若狭の連携の相手と考えた方がメアリーと協力関係にあるという考察よりも矛盾が生じない気がします。

 

【考察の矛盾と解決の糸口】

黒田と若狭が連携しているのではないかという今回の記事ですが反論材料となるのが両者が作中で初対面となった93巻でしょう。
「燃えるテントの怪」で若狭は黒田を訝り、牽制とも取れる様子を見せていました。
2人が連携しているのなら若狭のこの態度はあり得ないという意見が出てきても当然かと思います。
ですがこれを解決できるのが黒田が変装の達人であるという伏線です。

▼黒田が変装術を持っている伏線はこちら

考察通り黒田が変装しているのなら彼は若狭と会っている時は素顔、あるいは全くの別人として名前も別のものを用いている。
これなら若狭は連携している人物が黒田だとは気付けないのではないでしょうか。
つまり両者の連携は全面的でなく互いに損をしないレベルのものであり完全ではないという事。

もちろん黒田だけでなく若狭も自分の名前などを伏せた上で接触している可能性があります。


最近工藤夫妻と赤井秀一が連携しコナンを騙すというエピソードがありました。
ですが工藤親子はコナン=新一の情報を赤井に渡していません。

また赤井家は家族が敵同士という訳ではありませんが全員完全な協力関係には至っていません。
目的遂行の為には敵でなくとも互いに情報を伏せるパターンは工藤家、赤井家でも証明済み。
協力関係が完全な形になっていないケースは最近の作中でよく見られます。

このような手段を使う人物が他にいてもおかしくありません。

 

私の考察の流れとしてはまず黒田が若返ります。

黒田は若狭に事情を説明し若狭は若返りの実情を確認。
黒田は公安の情報を持っている為コナンの推理力や博士の発明品について若狭に伝達。
若狭はコナンの活躍開始と新一の失踪が同時期である事に気付き、自分の入手したAPTX4869投与者リストで死亡とされていた新一がコナンとして生活しているという仮説立証の為に帝丹小学校へ潜入。

もし両者が繋がっているなら大まかな流れとしてはこんなところかなと思います。
「山菜採り」で推理ショーを目の当たりにした時の若狭の笑みは推理ショーの裏側にようやくたどり着けたという笑みかもしれません。
加えて自分や黒田の推測通りだったという「勝ち」や連携相手である黒田への手土産が出来たという表情であった可能性も。

 

若狭が若返っているパターンでも若狭と黒田の連携という考察は成立します。
黒田の持つ情報と若狭の持つ情報が同一という肝心な部分さえクリアできれば黒田と若狭、どちらが若返っていても問題ありません。

若狭が協力関係となっているのは黒田でありメアリーの方は娘の世良としか連携していないのかもしれません。

 

黒田と若狭が繋がっているという今回の考察は的外れとまでは言えないと思いますが私自身まだ引っ掛かる点はいくつかあるのが現状です。

ですが秀吉の知る若返りの現象が作中で若返りが明かされているキャラクター以外である可能性が高い事、若狭と羽田家の繋がりの否定、メアリーが少女化と同時にコナンの正体にたどり着いていた事など最近は盤石とされてきた若狭とメアリーの繋がりを否定する材料が揃いつつある印象は受けます。

 

私の考察は非常に複雑です。
読者の方はご存知かと思いますが私は黒田兵衛は2人いてその内の1人を脇田兼則が演じていると考えています。
ここで記した若狭と手を組んでいる黒田は脇田演じる黒田の事です。
つまり脇田と若狭が連携しているとも言い換え可能です

実は脇田と若狭が繋がっているというこの考察は1度自分の中で没にしたものでした。
ですが最近の「明美のタイムカプセル」で脇田の後ろ姿を眺めていた若狭の表情に険しさを感じられなかった為若狭は脇田(黒田)と連携しているかもしれないというかつての仮説を再検証してもいいかなと思い記事にした次第です。


若狭の連携相手がメアリーとすると謎が多いのですが黒田=脇田であり、かつ若狭と連携しているとすると私の中で納得できるシーンが多いというのもこの記事を書く決め手になりました。

私は脇田はRUMの影武者と推測していますからこの推測が的中している場合脇田はRUMから多額の報酬が与えられている可能性があります。

脇田がその報酬を協力者である若狭に流しているとすれば謎に包まれた彼女の資金源についての説明ができます。
そして脇田と言えばメイン回で立て続けにペアで行動するキャラクターが登場している事から彼を考察する上で重要な伏線の一つにペアが挙げられると思います。
これは脇田が黒田兵衛も演じている、脇田と黒田は2人で1人という伏線と考えていますが脇田と若狭が2人1組で行動している暗示という可能性もあるかもしれません。

 

少なくとも若狭が初登場時から持っているコナンの若返り&アガサ博士の発明品の情報はメアリーだけでなく黒田も若狭登場前から持っていたという事実を念頭に置いた上で若狭への情報提供者は誰なのかについて考察するべきだと思います。

 

若狭と連携している相手が誰なのか、それはいつ頃明らかとなるのか、また彼女の正体は浅香なのか。
私としては若狭の連携の相手よりも若狭=浅香とするとやや引っ掛かる点があるのでこちらも考察していきたいなと思います。
今後もお付き合いいただけたら幸いです。

 

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