トランプが表すRUM編の伏線とは

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先日最新刊97巻が発売になりました。

RUM候補のうちの2人、若狭留美の羽田に関する回想シーンや脇田兼則との旅行など考察材料が多い1冊と言えます。

今回私が注目したのはトランプです。単行本冒頭のお馴染みのコナンと新一の2ショットのイラスト。

2人はババ抜きをしています。そのコナンの手元のカードはジョーカーとスペイドのジャック。

スペイドのジャックは「長野廃教会殺人事件」でアップで描かれたカードです。それをここでも描いている。確実に意図的です。

今回はトランプが表すRUM編の伏線について綴りたいと思います。


スペイドのジャックとは

97巻収録の「長野廃教会殺人事件」。

依頼人から4人で来る必要があったため、コナンと小五郎は急遽参加を申し出た安室とRUM候補の1人である脇田と共に長野へ向かい連続殺人に遭遇する話です。

このシリーズの冒頭で4人はババ抜きをしています。この時安室が小五郎から引いたカードがスペイドのジャックです。

このカードは読者に分かりやすいようアップで描かれています。

 

そもそもスペイドのジャックとは何を意味するのかというところから。

組織のボスである烏丸蓮耶について初めて語られた30巻「集められた名探偵」を振り返りましょう。

このエピソードの中でのコナンの台詞が以下の通り。

「切り札とは英語でトランプの事!」

「兵士はJ!」「剣はスペイドを意味してるんだ…」

「剣と兵士はスペイドのJってわけ!」

トランプは数字やマークの意味がゲームの内容によって異なる場合がありますがコナンの作中においてはスペイドのジャック=剣&兵士という意味で語られています。このカードの意味するものこそ脇田の存在そのものなんです。


スペイド=剣=脇田兼則

スペイドの意味は剣です。なぜ脇田と剣に関連があると言えるのか。

実は日本刀には「兼則」というものが存在するから。

もちろんそれだけじゃありません。

63巻の「回る凶器」の扉絵を振り返りたいと思います。

脇田の初登場となった92巻「江戸っ子探偵!?」の扉絵と酷似していることがよく分かりますね。

これは「回る凶器」と脇田には関連があるという事。

「回る凶器」は阿笠博士と少年探偵団が回転寿司を食べに行った先で事件が起こるというもの。

ですが描かれた扉絵は回っていないお寿司。これは確実に伏線。

元太の口から「江戸っ子」という言葉も飛び出しているので作者の中で「江戸っ子の寿司職人」はこの時点で頭にあったはずです。

何よりコナン達が訪れた回転寿司屋の名前は「旋風剣」。これは作者の前作『YAIBA』が由来です。

一見作者の遊び心に見えますが

兼則という日本刀がある

回転寿司屋の事件なのに回らないお寿司が描かれている

脇田初登場回の扉絵と酷似している

やはり脇田と剣にはなんらかの繋がりがあると考えていいはずです。

初登場時の犯人の名前が国宝であり天下五剣のひとつである日本刀、宗近であることも偶然ではないでしょう。
青山先生は大の侍好きですから当然日本刀に関してもそれ相応の知識があるはず。

またRUM編には槍にちなんだ事件も起きています。そして犯人を撃退した際の若狭の言葉も恐らく伏線。

「む、夢中でトンボ振り回してたから…」(91巻)

天下三名槍のひとつに蜻蛉切があります。若狭は体に切り傷と思しき跡が複数確認できますが(95巻)これも日本刀(槍を含む)での襲撃を受けたと考えられます。犯人を撃退したのは倉庫ですからトンボ以外にも武器になるものはあったはず。それこそもっとメジャーなバット等。トンボにしたのは意味があるはずです。

私はRUM編は槍を含む日本刀にも注目するべきだと考えています。

ちなみにボスの烏丸、スコッチ(諸伏景光)も日本刀からだと思います。(RUM編と日本刀についての記事はまた別の投稿します)

脇田も若狭同様日本刀と繋がっています。97巻で2度もアップで描かれた剣を意味するスペイドのトランプは脇田を表わしていると考えるべきです。


トランプが示す脇田はRUMではないという伏線

スペイドは剣。ではジャックはどうでしょうか。意味は「兵士」など「仕える者」です。

脇田はこのジャックに該当するのでしょうか。

RUMは組織のNo.2でボスに仕える立場。とはいえコードネームを与えられた他のメンバーと異なり権力は絶対的です。

灰原「トランプのジャックの意味は廷臣か兵士…王子や息子の意味はないわ」(49巻)

つまりコナンの作中においてジャックは地位の高い人物ではないということ。

この時点で脇田が組織のNo.2の権力者という可能性は無いことを意味します。

またコナンも言っている通りトランプの意味は「切り札」。組織のNo.2を切り札と表現するのはおかしな話なのでこのことからもやはり脇田はRUMという可能性は非常に低いと言えます。


脇田はRUMの影武者で安室の仲間

先述の通りババ抜きの際安室は小五郎から脇田を示すスペイドのジャックを引き抜きました。

そしてそのカードを手放す描写はありませんでした。これは脇田は安室の仲間という意味です。

「長野廃教会殺人事件」の終盤で両者が裏で手を組んでいたのも同志であり、脇田は公安の手札ということ。

 

また97巻冒頭のコナンと新一の2ショットのトランプではジョーカーの陰に脇田を表わすスペイドのジャックが隠れています。

このイラストが意味するものは「脇田兼則はRUMの影武者」だということ。

彼がRUMの影武者である以上RUMの思惑通りに動くより他ありません。これが多くの読者が脇田=ラムと判断する材料となっているわけです。

 

97巻2ショットのイラストは以前よりこのブログで提唱していた私の考察がそのまま表現された形なので本当にうれしかったですね。

脇田はラムの影武者という考察記事はこちら。


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