脇田の正体は務武?
RUM候補の1人である脇田兼則の正体は赤井務武である。
最近になりこのような考察ができる材料が少しずつ揃ってきている印象を受けます。
今回は脇田兼則=赤井務武について考察します。
◆初登場のタイミング
務武の容姿が読者に初めて明かされたのが「さざ波の魔法使い 92巻」。
脇田の初登場はその次のエピソードである「江戸っ子探偵!?」。
務武が非常にハンサムな男性という印象を読者に植え付けた後でその真逆とも言える容姿の脇田が登場しているんです。
務武の正体が実は脇田とすれば初登場のタイミングとしては最高の演出だと思います(笑)。
◆脇田がMI6という可能性
脇田=務武と考えられる大きな要因として脇田の正体がMI6という伏線が確認できる事にあります。
脇田は初登場時「ゾンビが囲む別荘 88巻」について触れています。
また蘭のある台詞にも注目。
「お父さんはダメよ!尿酸値とコレステロールがヤバぎみなんだから…」
「間食はダメよ!お医者さんに内臓脂肪が付き過ぎって言われてるんだから…」
上が脇田初登場、下がゾンビ回の台詞です。
また脇田のメイン回「屋根裏密室事件」は「ゾンビが囲む別荘」を明らかに意識して作られています。
この2つの事件の共通点を見てみましょう。
「ゾンビが囲む別荘」と「屋根裏密室事件」の共通点
▼沖野ヨーコの登場
▼小五郎がお腹をこわす
▼トイレットペーパーが重要ポイント
▼廃れた貸し別荘で事件が発生
▼被害者が忽然と姿を消す
▼遺体発見のタイミング
(ゾンビ事件では捜索から4日後の朝、屋根裏事件では4日目の朝)
▼兄弟の片方が死亡
(ゾンビ事件では弟、屋根裏事件では兄)
脇田登場前の「ゾンビが囲む別荘」と脇田メイン回の「屋根裏密室事件」は類似点が多い事が分かります。
そして脇田は初登場時ゾンビ事件について語っている事を踏まえると作者が「ゾンビが囲む別荘」と脇田兼則というキャラクターを重ねて描いているとみて間違いありません。
ではなぜ彼と「ゾンビが囲む別荘」を結び付ける必要があるのでしょうか。
それはこの事件のFileナンバーにあります。
「ゾンビが囲む別荘」のシリーズ1話目はFile931。
これはMI6に変換する事の出来る数字です。
脇田とゾンビ事件を重ねて描いているのは彼の正体がMI6という伏線とすると納得がいきます。
また「ゾンビが囲む別荘」にはこっそりシャアのネタが織り交ぜられているのもポイントです。
ゾンビが襲い掛かって来る時の擬音がキシャアなんです。
青山先生は大のガンダムファンでありコナンの作中にもガンダムネタはいくつも見られます。
そして務武の息子である赤井秀一はシャアがモデルである事は有名な話。
ゾンビ事件のFileナンバーと擬音は脇田の正体はMI6であり秀一の父親であるとすると合点がいきます。
また「屋根裏密室事件」ではこんな台詞も。
脇田「そいつは「ATTIC」!屋根裏部屋の事でやんすよ!」
これは脇田が英語に精通している伏線と考えていいと思います。
そもそもRUM候補3人はアメリカで発生した羽田事件に何らかの形で関わっている事が分かっています。
3人とも英語が話せる方がむしろ自然です。
また私が伏線の可能性を考えているのが次の台詞です。
「アッシにゃーこっちの暗号の方がトンチを利かせなきゃ解けねぇ難問に見えやすけど…」
脇田が「トンチ」の単語を持ち出すのはこれが初めてではありません。
「こいつァトンチが…利いてるねぇ…」 92巻
若狭留美の名前に反応した時の脇田の言葉です。
トンチと言えば一休さん。数字にすると193。
これも脇田と繋げて描かれている「ゾンビが囲む別荘」のFile931と同様にMI6に変換できる数字です。
脇田が口にした「トンチ」も彼の素性がMI6である事の示唆かもしれません。
◆「迷宮カクテル」の伏線
私が脇田の正体を考察する上で欠かせないエピソードと考えているのが「迷宮カクテル 95巻」です。
このシリーズ1話目の扉絵はコナンが蘭に左目を塞がれている事からRUM候補3人の中で唯一左目が義眼の疑いがもたれている脇田の人物像に迫る伏線の事件と考えています。
扉絵だけではありません。
この事件は脇田の初登場時の「江戸っ子探偵!?」と内容が非常によく似ているんです。
「迷宮カクテル」と「江戸っ子探偵!?」の2つの事件の共通点が以下の通り。
■財布が奪われる
■スマホを2台持っている人物の登場
■袖口が汚れた人物
■視力に問題を抱えた人物が肝心な時に眼鏡を外している
■店のイメージと異なるメニューが豊富にある
さらにキャラクターの台詞も類似しています。
蘭「でも今日は散々だなー…」
コナン「散々って?」
小五郎「くそォ!今日は色々ついてねぇぜ…」
コナン「色々って?」
上が「迷宮カクテル」下が「江戸っ子探偵!?」です。
確かに小五郎はツイていない事の連続でしたが蘭はそうでもありませんでした。
その蘭に「散々」と言わせる事でこの2つの事件の関連性について読者にヒントを与えているのだと思います。
ここで注目なのが「迷宮カクテル」の登場人物の名前です。
諸岡郡蔵(依頼人)
深町惇史(諸岡の執事)
村上紗菜(店員)
朝倉有里(店員・被害者)
このようにエリアが名前の由来になっている事が分かります。
エリアと言えば赤井家を象徴するワードです。
赤井「消えろ!!この場(エリア)から今すぐに!!」 35巻
(逃げろ このエリアは危険だ ) 67巻
「ここから先はこちらのエリアだ…」 77巻
世良「ここから先は、ボクらの領域だから…」
メアリー「私の事を尋ねてきたらこう答えなさい…領域外の…妹だとな…」 83巻
事件が起きたのは「黒ウサギ亭」。
登場人物の名前は店名に合わせて動物の名前を入れた方がしっくりくるというものです。
ここでエリアを利用したのは意味があると考える事は十分可能です。
また登場人物の出身地が強調されているのも気になる点です。
店員A「(諸岡は)女の人と駆け落ちして鳥取県に住んでいたそうです…」
店員B「有里ちゃんの田舎も鳥取で…」「紗菜ちゃんの実家も鳥取だったような…」
店員C「ええ…彼女は隠しているみたいだけど…」
これらはエリアというワードを際立たせる狙いがあるのではないでしょうか。
気になると言えば容疑者のある一言にも注目しています。
村上「お父ちゃんはそんな簡単に死にゃーせんよ…ウチと同じしぶとい赤い血が流れとるけぇな…」
◆「父は簡単には死なない」=生死不明の赤井務武は死んでいない。
◆「ウチと同じ」=血縁関係。
◆「赤い血」=赤井家。
このように務武、及び赤井家を暗示しているのかもしれません。
店員Cの「隠してる」という言葉も何らかの理由から務武が生存している事を伏せている事の伏線だとすると面白いですね。
「迷宮カクテル」は脇田兼則の正体に迫る伏線が散りばめられた事件であり彼の正体は赤井務武であると解釈する余地は十分あると思います。
◆脇田は蘇った死者?
脇田はゾンビと結び付けて登場していますが他にも脇田を語る上で欠かせないワードがあります。
それが幽霊です。
「裏切りのステージ 90巻」に登場する3人の容疑者はそれぞれがRUM候補の3人を意識して作られたキャラクターです。
布施は黒田、円城は若狭、梶谷は脇田を意識したキャラクターに間違いありません。
断言できる理由として布施はそれほど重要度が高いとは言えない大柄という設定がありました。大柄と言えば黒田です。
また円城の外見は若狭を連想させるものです。
そして彼女が連行されるコマは「仲の悪いガールズバンド 88巻~89巻」の犯人が連行されるコマに酷似しています。
「仲の悪いガールズバンド」の犯人の名前は留海。
連行シーンや名前だけでなく眼鏡をかけているという点も円城と留海の共通点です。
外見以外の情報からも作者が円城と若狭を重ねている事が読み取れます。
そして梶谷ですがチョビ髭に喧嘩っ早い口調ですから必然的に脇田の枠という事になります。
脇田を意識して作られた彼はこのような台詞を口にしています。
梶谷「俺は、登山部の幽霊部員だったけど…」
「言っただろ?幽霊部員だって…」
犯行にロープが使用された事から登山経験者である彼が疑われる流れになる意味での台詞であれば納得がいくのですが二度に渡り幽霊部員である事を強調する必要性は物語上皆無でした。
つまり脇田をイメージさせる梶谷に幽霊と発言させる事で脇田と幽霊を間接的に結び付ける狙いがあると考えられます。
そして「長野廃教会事件」ではこんな台詞があります。
小五郎「確かに悪い霊とか棲みついてそうだ…」
脇田「止めてくだせぇ…そういうの苦手なんですから…」 97巻
さらに脇田のメイン回「屋根裏密室事件」でもこんな台詞があります。
小五郎「何かのインタビューで次は探偵役だって…」
ヨーコ「その幽霊が探偵なんです!」
脇田と幽霊というワードはゾンビ同様セットと考えていいでしょう。
ゾンビと幽霊はどちらも死者の蘇った姿と言えます。
脇田は蘇った死者である。そしてその正体は死んだとされている務武である。
このような考え方が出来そうです。
◆脇田と赤井秀一の類似点
外見からは想像もつかないかもしれませんがよく見るとこの2人の行動はよく似ているんです(笑)。
■料理
秀一は死を偽装し沖矢昴として生活するようになってから料理をするようになりました。
脇田は料理をしている描写こそありませんが寿司屋に勤める事が出来るのですから当然非常に高い調理のスキルを持っているはずです。
実は沖矢の台詞の中に脇田を連想させるものがあります。
「一流の板前さんとまではいかないが…家庭料理程度なら…」
板前と言えば思い浮かぶのはやはり脇田です。
この沖矢の台詞は64巻。脇田の初登場は92巻。
この時点で脇田と秀一が親子という伏線を張っている事を疑問に思う方もいるかもしれませんがこのブログで何度か綴っている通り脇田兼則という人物は伏線から紐解くと少なくとも63巻の時点では完成している事が分かります。
64巻に伏線があってもおかしくはありません。
■目的の人物に料理を介して接触
秀一はかつての恋人である宮野明美から妹の灰原を守るという願いを託されていると考えられます。
ですが彼は自分の素性を明らかにできない以上彼女に接触する為の手段が限られている。
その秀一は料理のお裾分けという形で灰原に接近しています。
そして脇田も小五郎に近づくために寿司を手土産に探偵事務所を訪問しています。
■帽子
秀一のトレードマークと言えばニット帽。
帽子を被っているのは父である務武の影響と明かされています。
そして脇田は勤務するいろは寿司では常に帽子を被っています。
また「長野廃教会事件 97巻」では私服姿でしたがこの時もハンチング帽を被っていました。
このハンチング帽は務武の容姿が初めて明かされた92巻で務武が被っていたものと非常に似ています。
形状だけでなく使用されているトーンが同じですから同一と言っていいレベルです。
ハンチング帽のデザインが似通るのは特別視する必要はないとも言えます。ですが意図して似せている事も完全否定はできません。
脇田が務武と同じ帽子なのはこの2人が実は同一人物である事の伏線。
そして脇田も秀一も帽子を愛用するのはこの2人が親子である証なのかもしれません。
■2人とも変装をしている
脇田の正体が務武なら彼は変装を施している事になります。
事実脇田は間違いなく変装をしています。
彼は小柄な印象を与えがちですが足腰を曲げて自分を小さく演出しているに過ぎません。
脇田は本来の身長が特定できない場面になるといつも曲げている足腰をピンと伸ばしています。(例:コマに脇田しかいない。脇田以外の人物は座っている等)
身長を偽る人物が顔を偽っていない訳がありません。
脇田の現在の外見は素顔ではない事は間違いないでしょう。
秀一は死を偽装死沖矢昴という人格を作り上げ変装をして生活しています。
脇田が変装をしているのは間違いありませんからこの点は脇田と秀一は完全に一致していると言えます。
◆務武はなぜ生存を隠すのか
仮に脇田=務武ならなぜ生存を隠すのでしょうか。
「いいか、この先、私はいないものと思え…どうやら私はとんでもない奴らを敵に回してしまったようだ…」 92巻
務武が残した別離のメールです。
相手の強大さを理解し、なんとしても家族を守り抜くと決めた務武なら家族と連絡を取らないという選択も十分にあり得るでしょう。
そして息子の秀一は務武のスピリットを強く受け継いでる人物。
その彼は家族や仲間を守りたいという強い思いと愛情、優しさ、そして敵に立ち向かい勝利するという決意から母と妹にも生存を明かしていません。
彼が自身の生存を伏せるのは覚悟の表れと言えます。
秀一の生き方が務武の歩んできた人生をそのままなぞっている可能性はそれなりに高いのです。
私は当初は務武が生きていたとしても脇田ではないと考えてきましたがここにきて私の中では脇田=務武と考えられる材料が集まってきている感じです。
脇田は何者なのか、そして務武は生存しているのか。
これらの答えは今後作中で確実に伏線が張られていくはずです。
巧妙な伏線になる事は間違いありませんが丁寧に拾い上げていきたいですね。
▼務武の生存の可能性について
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